夏になると熱中症と合わせて怖いのが脱水症。脱水症は自分で予防をしていくことが可能なものです。今回は脱水症についてセルフチェックの方法から予防方法まで詳しくご紹介します。 ご自身や大切なご家族が脱水症とならないよう、今日から実践し、そして情報を伝えていただければ幸いです。 ↓初診からOK!オンライン診療はこちら 1. 脱水症の症状とは?セルフチェック方法は?
08発行│広報誌 「甲友会ナウ」No. 3 4 より) 2017年07月11日(火曜日)
脱水症の予防方法は? 脱水症は夏だけでなく冬もなりやすいといわれています。なぜ脱水症になってしまうのか、脱水症になる原因は 水分を摂らないこと と、発汗による 多量の水分喪失 です。例えば夏場の外出やスポーツなども脱水症をおこす誘因となりますが、その他にもインフルエンザなどのウイルス感染による発熱や発汗、高温及び乾燥している環境へ長時間身を置くことも脱水症の原因となります。また、熱中症の症状のひとつにも脱水症状があります。 脱水症を予防、対策していくためには こまめに水分を補給していくこと が必要です。経口補水液やミネラルの入っている麦茶を少しずつこまめに飲むようにしましょう。一気に多量に飲んでも十分に吸収されないので少しずつこまめにというところがポイントです。また、キンキンに冷えたものも身体には吸収されずに尿として体外に排出されてしまうため、 人肌程度のぬるめのもの をこまめに摂ることをおすすめします。 成人の場合食事も含めて 1日2. 5リットルの水分補給が必要 といわれています。そのため、食事からもこまめに水分を摂りましょう。例えばお味噌汁はみその塩分も入っているため脱水症予防に最適なメニューであると言えます。毎日の食事に味噌汁を1品追加するだけでも脱水症予防へつなげることができます。喉が渇いたと思った時点で軽度の脱水は始まりますので、喉が渇いたと思う前に水分を摂るようにしましょう。ただし、心臓や腎臓の病気など医師から水分摂取量の制限をされている方は、水分摂取量について医師へ相談してください。 また、 高温な場所や乾燥している場所へ長時間身を置くことを控えましょう 。喉が渇いた、体温が高くなっている、吐き気がするなど脱水症と思われる症状を感じた場合には熱中症と同様に涼しいところに移動して水分を摂るようにしましょう。 3. 脱水症状かもと思ったらどうする? 脱水症状かもと思ったら、すぐに水分を摂りましょう。とはいえジュースや水道水などで脱水症状を改善することはできません。先ほどもご紹介したように 麦茶や経口補水液などミネラルの成分が含まれているもの を活用しましょう。 それでも脱水症が改善しないという場合には 医療機関への受診 をおすすめします。どの程度の症状があれば医療機関を受診すべきか悩まれているという方へ、医療機関時受診の目安は 発熱や下痢や嘔吐に加えて尿の回数が減る、尿の色が濃い、目が落ちくぼんでいる、皮膚やくちびるが乾燥している、皮膚にはりがないという症状が1つでも当てはまる場合 には、なるべく早めに医療機関を受診されることをおすすめします。特に意識が混濁しているなど傾向からの水分摂取が難しい場合には、傾向からの水分補給という対処法が不可能となり、脱水症が進んでしまいますので速やかに医療機関を受診してください。 4.
第4回では、体に必要な水分量、脱水症が起こる仕組みや隠れ脱水のサインを解説しました。では脱水症が進むとどうなるのでしょうか? 脱水症になる理由 人は汗によって体温調節をしますが、汗のもとになる水分とナトリウムやカリウムなどの電解質が足りなくなると体温が下がりにくくなり、発熱の状態が続いて脱水症に陥りやすくなります。 電解質は神経・筋肉・心筋の収縮に関与するため、大量に失われると、脱力感・手足のしびれ・不整脈などが生じることもあります。 また、発汗だけでなく、実は嘔吐や下痢も電解質を大量に失う原因になるので注意が必要です(図1)。 監修/高瀬義昌・企画協力/日本看護協会、他:「防ごう!!守ろう! !高齢者の『脱水』」(健康と良いともだち社)より引用 (図1)※画像クリックで拡大表示 脱水症により生じる症状・疾患は?
暑い時期になりました。今回は 西宮協立脳神経外科病院 神経内科 名誉院長 立花 久大医師 に、この時期に気をつけたい「 脱水 」について尋ねました。 脱水とはなんでしょうか? 脱水とは体内の水分の量が不足した状態を言い、いろいろな症状が出てきた場合、脱水症と言います。 水分喪失量に対して水分摂取量が不足することによって起こります。 発熱、下痢・嘔吐、高温の環境、重作業、激しい運動などが原因 となります。 脱水はなぜ怖いのでしょうか?
脱水症の症状が現れたら、脱水状態を重症化させないことと、脱水によって生じた症状を和らげることが大切です。ふらつきによる転倒にも注意しましょう。 <応急処置例> 水分補給を促しましょう 発汗、発熱を伴うときは、電解質(ナトリウム・カリウムなど)も補いましょう。市販の経口補水液は、体への水分吸収が早く、電解質も含まれています。 注意! 糖質や水分制限を指導されている場合は、必ず専門家の指示に従ってください。 温度と湿度を調節する 高齢になるにつれて体の機能が低下し、温度変化を感じにくくなります。服装や寝具による調節もこまめに行いましょう。また、高齢者は節約志向から冷房を使わない場合もありますが、適度に室温をコントロールすることも意識しましょう。 めまいやふらつきがある時は、安静にしましょう 症状が治まらない場合や重度の状態で発見した場合は、すぐに医師や看護師に連絡を!点滴による水分・電解質補給が必要なこともあります。 <保湿ケア> 唇、口の中、皮膚など乾燥している部分を保湿する 水分を補給するだけでなく、リップクリームや保湿ジェルなどで皮膚の乾燥による痒み、かき壊しによる傷をつくらないようにしましょう。(図2) (図2)※画像クリックで拡大表示 まとめ 脱水症は、なってからの対応より ならないように予防 することが大切です。 次回(第6回)は、生活の中で無理なく水分を摂るためのコツをお届けします。 参考文献 ※公益財団法人長寿科学振興財団ホームページ「長寿ネット」 ※監修/高瀬義昌・企画協力/日本看護協会、他:「防ごう!! 守ろう!! 高齢者の『脱水』」 (健康と良いともだち社) ※YUSYOUKAI PRESS 2017年7月号 (株式会社ヒューマンライフ・マネジメント)